ひろゆき氏、位置エネルギーは嘘だと発言して炎上
久しぶりに面白いこと言ってくれたひろゆきさん、ゆたぼんとの舌戦の途中でアホなことを言いだしたようで炎上してたようですな。
さて、彼の言い分はこうです。
「位置エネルギーというのは嘘で、成層圏を超えて宇宙に行くと重力はゼロになる、落ちてこなくなるわけです。そうなった場合、その物体の位置エネルギーはゼロになる。これは質量保存の法則と矛盾するから位置エネルギーなんか存在しない、虚数と同じで嘘」
実際に動画も見たけど、おおむねこんなことを言っています。いやあ、突っ込みどころが多くてどこから手を付けていいのか、といったところですね。
まずそもそも、位置エネルギーこそがエネルギー保存則によって成り立っているんだけど、これはまずおいとくとして。
彼は宇宙が成層圏の上だと思っているようです。上の方という比喩で言ったのかもしれないけど、たぶん成層圏しか知らないからいったのだろうと思われます。成層圏はせいぜい50㎞まで。その上には中間圏、熱圏、外気圏とあって、その上部は10000㎞程度。この上までいってやっと宇宙と言われるようになるわけです。地表1万キロまで地球だってこと、知らなかったかな。これ中学くらいで習うと思うんだけど、ひろゆきさんは中学には通ってないのかな?かな?
次、宇宙まで行くと重力がなくなるという恐ろしいことを言いだします。これはニュートンもびっくりの驚愕の事実ですな。現実には重力がなくなるなんてことはありません。重力の及ぶ範囲は無限大です。つまり月だろうがアルファケンタウリだろうがベテルギウスだろうが、地球の重力は及んでおります。地球どころかそのへんの石ころだって同じ。だから万有引力と言うのだから。
多分だけど、宇宙に重力がないというのは無重量のことだと思うんだけど、これを無重力と表現する場合があるので、宇宙には重力がないと勘違いしちゃってるんじゃないかと思う。
たとえば、人工衛星やISSなんかの中は無重量になってるけど、これは重力がなくなったからではなくて、単に自由落下しているからです。つまり墜落しつつある飛行機の中と同じで、自分も飛行機も落ちているから、自分と飛行機の関係性でいうと相対速度が同じ、つまり飛行機の中で浮き上がってるように感じるわけです。でも、実際両方とも落ちているのでいずれは地上に激突します。重力があるからですね。
で、人工衛星も同じで、あれは単に地球に落ち続けているのです。でも、横にも凄い速度で進んでいるので、地球は丸いために激突するべき地面に永遠に行きつかないだけ。でも、横の移動が速すぎると地球の重力をふりきってどこかへ飛んでいってしまうので、適度な速度で横に移動する必要があります。一度移動してしまえば真空中では抵抗がないので、慣性の法則によっていつまでも地球の周りをまわることになります。これを「重力と遠心力が釣り合っているから落ちても飛んでもいかない」などと説明します。これも中学か高校くらいで習います。
で、かのアイザック・ニュートンは林檎が木から落ちるのを見て、なぜ月は落ちてこないのだろうと考えました。そこで月と地球は引きあってるけど、遠心力と釣り合ってるから落ちてこないのだ、万物には引力があるのだ、と考えたのは有名です。それくらいは小学生が読む科学の本に書いてある逸話かと思います。
でも、我らのひろゆきさんは月が落ちてこないのは宇宙には重力がない、地球の重力が及ばないからだと思い込んでいます。どうも重力が及ぶ範囲は決まっていて、そこから抜け出すともう地球には落ちていかないのだと思い込んでいる様子。これはさっきも言ったけど嘘です。たとえ何百光年離れていようと、周りに何もなければいずれ地球に落ちます。
というか、地球の潮の満ち引きは月の引力のせいだっていうのも学校で習うと思うんだけど、宇宙に重力が届かないのなら月が地球の海水を引き寄せたりしないと思うんだけど、まさか潮汐力も嘘、潮の満ち引きなんかないとか言い出すのだろうか。
重力というのは距離の二乗に反比例するので、遠ければ遠いほど弱くなります。ほかの天体の重力のほうが強いような状況ではそっちに落ちていくことになりますが、かといって地球の重力の影響がゼロになるなんてことはありません。
どうもひろゆきさんはガンダムとかで「地球の重力圏」みたいなセリフをきいて、地球の重力が及ぶ範囲が決まっていると思い込んだようですね。
さて、位置エネルギーの話。位置エネルギーというのは物体がある天体から持ち上がったとき、そのことによって使われたエネルギーを持つ、というものなのは常識ですね。手を離せば落ちる、低いところより高いところにあるモノのほうが地面に激突したときのダメージが高い。これもひろゆき氏の言う通り。
でも、彼は「宇宙に出たら重力がなくなるから、地球に落ちてこなくなるので、いままで貯めた位置エネルギーはゼロになる、だからエネルギーの保存則に反する」というわけですが、いままで説明した通り、宇宙にいっても月や太陽に落ちても、地球からの重力の影響から逃れられるわけではないので位置エネルギーは保存されるのが正解です。
何光年先に行こうとも、重力は無限に届く力なので地球に落ちてくることが可能です。ただ、その途中にもっと大きな重力を持つ天体があればそこに落ちていく、ただそれだけの話です。
とまあ、小学生レベルの知識でも説明できるほどの簡単な話なんだけども、彼はその程度の知識もないのに、なんかドヤっちゃってて痛いなあという話。それもなんの関係もないところで言ったのではなく、不登校の小学生に学校行けという舌戦の中での発言なんだから面白さが倍増というわけですな。
なにしろきちんと大学まで行っても小学生レベルの知識も知恵もない大人もいるんだから、学校なんか行っても無駄だろって言われたら反論できないwwww
ひろゆきはときどきこういう発言をするから面白い。最近では日本脳炎は日本発症なのに日本は他国に謝ってないとか言い出してて炎上してたし。日本人が発見したから日本脳炎というだけであって日本が発生源ではないことくらい調べればわかることなのに、思い込みだけで発言してしまう。過去にこういう間違いをいくらでもしてるのに、まるで改善しようとの意図が見えない。
なぜ知らないことを偉そうに語るのか、個人的には理解できないけど、なぜかひろゆきはレスバに強いことになってるのが謎。ネットによくいる無知なのに偉そうに語り、馬鹿なのになぜか頭がいいと勘違いしてて、間違いを指摘されても絶対認めない面倒な奴そのものだと思うのだけど、なぜか一定の信者がいるのがおもしろいよね。
というわけで、皆様も不思議に思うことがあったらまず調べましょう。科学に関しては納得いかないことがあっても必ずその誤解への説明があるので、トンデモないことを言うまえに調べるか、人に聞く。そうすれば恥をかかずに済みます。