デスノートが面白い(ラストシーン)
さて、デスノート読み返しててやっと最後まで読んだ。
どうも前半は印象的なシーンがけっこうあったのに後半はあんまり覚えてない感じがするよね。もちろんストーリーそのものはだいたい覚えてるんだけどね。
さて、後半、Lを継いだライトは日本側のキラ捜査本部の中心人物になっていた。ところが真のLの後継者としてはニアとメロが存在していた。ニアはその実力をもって大統領にキラ特別捜査本部(SPK)を設立させ、その指揮をしている。
メロは独自に火口が捕まった時の情報から「殺人ノート」の存在と、顔と名前がなければ殺せないという情報をキャッチしていた。メロはマフィアの一員となって警察庁の長官を誘拐するという行動に出る。ところが長官はキラに殺されてしまい、かわりの人質としてライトの妹が攫われてしまったのだった。
これもすぐに殺せばなんの交渉材料にもならないのだけど、その情報があまり流れてないところで立て続けに人質を殺せば警察関係者にキラがいると思われるだけだ、という話もあるが、まあ普通に躊躇したんだろうと思う。結局ライトはメロとの交渉をすることになる。
そもそも、ニアはLの捜査結果から二代目Lがキラだと思っているし、そのうちそれがライトであること、そして過去にLに疑われていたことなどからもう夜神月=二代目L=キラであると早い段階から特定していた。まあそりゃそうだろう、こんなに怪しい人間はほかにいないもんね。それにしても日本捜査本部の連中はよくライトと一緒に捜査しているよなあ。
さて、ライトの妹が攫われてしまったので日本捜査本部としては犯人側(メロ)との交渉を行うことになった。いろいろあって妹は救出され、メロはノートを手にした。
そして、手下に目を契約させ、SPKのメンバーのうち身元が分かっている者を全員瞬時に殺してみせた。これでSPKはほとんど壊滅という状態になり、大統領もついにキラに屈して、SPKの活動はニア独自に水面下で行われることになった。
この状態でニアはライトを相当挑発してくる。このときにライトは適当にあしらってはいるものの、ニアも殺してこそ、ノートの存在を知るもの全員を殺してこそ勝利だというゴールラインを設定する。これもちょっとよくわからんのだよねぇ。
この後の二度のメロアジトの襲撃でもってメロからノートを奪うことに成功する(それはシドウに返すことになる)が、少なくともこの段階でニアの相手をするものだから相沢と模木がライトにまた疑いをかけることになる。ニアにしゃべらせず、協力もしないことにすれば彼らが疑いを持つこともなかったろうに、と思う。
それに、ニアはあくまで初代のキラ(ライト)を捕まえようと思っているんだけど、ライトもライトで自分がキラの大将だと思い込んでいる節がある。この状況では自分では裁きをしていないし、代わりにやらせていたミサも疑いがかかることを見越してノートの所有権を放棄させた。このタイミングは絶妙だったと思うが、この段階でライトは裁きを行えない状況にいるし、ミサから魅上に裁き係を移動させたところでそれは同じだろう。しかもその魅上とコンタクトを取ることが出来ず、彼のやりかたが自分のそれと違うという状況でも、何も口を出せなかった。(出目川の削除については思惑が一致していたようだが)
そして、その出目川の代わりに高田が代弁者として選ばれたわけだけど、これもかなり都合のいい展開だ。もちろんキラ信仰者であることが選ばれる理由だったのだろうけど、もしライトと通じていた人でなければライトは今後魅上と連絡を取ることすらままならず、魅上がキラになってしまっていただろう。
それならそれでいいんだろうけど、もしそうなったら当然ライトは魅上を殺すよね。操ってノートを回収して。でも、監視されている状況では回収も別の人間を見つけることも不可能だろう。そうなるとライトはただ疑われてるだけの人ってことになってしまう。
つまりミサを見限って赤の他人にノートを委ねるしかなかった時点でライトはもう追い詰められているというか、キラとしては終わっているってことなんだよね。実際自分で裁きが出来ないわけだし。
だったら自分はもうキラとしては引退し、たまーにこっそり口を出すくらにしといたほうがよかったんじゃないか。魅上が実質的なキラだったとしても、キラ中心の世界になるならそれで充分じゃないか。この境地に達していればニアが何を言ってきてものらりくらりかわしていればいいし、なんなら警察もやめちゃってもいいだろう。なにしろ自分はもうキラをやらないんだから、捕まる心配もないし、捜査本部にいる理由もない。
で、またいろいろあって唐突にニアがライトに会おうと言い出す。これは確実に罠なんだけど、ライトのほうもそれを逆に取って罠を仕掛けようとしていたわけだ。そんなことしないで普通に断ればいいのに。ニアがキラである可能性がある以上は顔を合わせるわけにはいかない、とかなんとかいって。
でもライトは面会を了承してしまう。というのも、ニアが魅上に目をつけていることを知った上で、仕掛けてきた罠を逆に利用してやろうということだ。
まあ、あれだけ目立つ魅上だから、ニアも見つけてしまうのは時間の問題だと考えていたんだろう。これってもう初期の「疑いをかけられるだけで負けなんだ」というのが嘘のよう、やることなすことバレバレ状態なのである。
でも明確な証拠がなければしらばくれればそれまでだ。でもライトは余計なことをしてニアを潰そうとする。そんなことしなきゃ世の中はもうじきキラ中心になって、自分がキラだと名乗ったところで称賛されても捕まるなんてことはなくなるのにね。そうしないやつを全員殺せばいいんだし。
さて、そのニアの罠とは、魅上の使うノートを偽造して、というか先のページをただの紙に差し替えて死なないようにして、そのノートを持って自分らの面会現場にやってくる魅上とライトを捕まえよう、というものだった。
魅上は几帳面な性格で、裁きを行うときは毎日ノートの1ページだけを使ってきっちりと書き込む。1ページが埋まったら残りは次の日に行う。そのようにきっちりやっていたものだから、その日にどのページが使われるかを予測するのが容易なのだった。なので会う日を右ページに来るようにしておけば、そこが偽物のノートだったとしても気づかないということだ。
ライトはこれを読んていて、魅上のノートそのものをまず偽物とすり替えておくように指示した。そうとも知らないニアはその偽物のノートに細工してしまったのだ。実際の裁きは切り取ったノートで高田が行っていたのだ。魅上は偽のノートで裁きをしているふりをして犯罪者の名前を書き込んでいたのだった。そして、決戦の日には隠しておいた本物のノートでニアらを殺す。ついでに松田らの日本捜査員も殺す。これでもうライトを邪魔するものはいなくなる…というシナリオだった。この状況のままならライトの勝利は揺るぎないものであったろう。なにしろニアはその切り取ったノートで人が死ぬかを試してないのだ。
ところが!リドナーから「ニアがそろそろ仕掛ける」という情報を聞いたメロは「俺がやらなきゃだめか」と呟いて、高田を拉致することになる。このイレギュラーなことがあってもニアはライトとの面会をやめない。これも織り込み済みなのか、メロにそうするように促したのかはわからないが、ともかくこのイレギュラーによって状況が変わったのだ。
高田が誘拐されたと知った魅上は、その日まで動くなと言われていたにも関わらず、ノートを隠し場所から出して高田を殺害。その高田はその直前に隠し持っていたノートでメロを殺害。メロの名前はライトの父が目を使って事前に見ていたので教えておいたのだろう。
これによって「本物の」ノートが別にあることを知ったニア。いそいでその本物のノートをまるごと偽造した偽物のノートと交換することになる。
これがちょっとチートなんだよね。右側のページに来るようにしてある日より後を全部偽物にするというだけでもテクニカルなのに、このまるごと偽物にしちゃうってのは、まっさらなノートならともかく、これまでの裁きの結果まで同じにしちゃうってのは無理があるだろう。「ジェパンニが一晩でやってくれました」じゃねえだろwwwって感じだ。
まあ結局はそういうことなので、魅上がライトとニアの面会場に現れたとき彼がもっていたノートは偽物だったのだ。なので目でライトだけ寿命が出ないのを見てキラ(神)だと認識し、それ以外の人物の名前を書いた。そこでニアは名前が書かれてない人がキラであるという証拠をつきつけることに成功したのだ。
ここでライトは致命的なミスを犯す。また直前で勝ち誇ってしまったのだ。そのまま何も言わなければ「え?魅上?誰?」で終わった話なのに。
だってそうでしょう。ニアが会おうっていうから行ったら、知らない男がノートに自分以外の名前を書いて、しかも別に死ななかったというだけの話なんだから。「え?この人ニアが呼んだんじゃないの?やだなあ、こんな子供だましで僕がキラってことになると思ったの?www」とでも言っておけばよかった。なんで勝ち誇ったり、その後自分がキラだと認めて演説しちゃうのかなあ。松田なら助けてくれると思った?さすがにそれはないんじゃないかなあ。
で、もしニアの土俵で勝利したかった場合。これはもう魅上に倉庫に来る前にノートが本物かどうか試せ、というだけでいいし、そもそも試さないことが有能で几帳面な魅上からしたら不思議でしかない。これはエピローグで松田が確認しないように操ったんじゃないか、実際魅上はその数日後死んでいるしと予想していたが、これは普通にありえることだろう。なんでそんなに松田がキレッキレなのかは別として。
どう考えても「確認してから来る」か「ライトのように非常用の切れ端を持っておく」ことが必要でしょ。どっちにしてもそれで死ぬか確認は必須だ。それをしないでのこのこ現れるというのも不思議な話だ。操っていたのだと考えるのが妥当だろう。
で、もし操っていたのなら…それってノートの力で勝ったわけで、それが完全なる勝利だと言えるの?ニアは単にライトを捕まえてノートで殺せばいい、そういう解決ではLは浮かばれないって言ってたんだけど、部下の超人的技巧だけじゃなくてノートの力を使って勝ってうれしいんだろうか、と思えてしまう。
つまり、言い換えればノートを手に入れていたのなら、そのノートにライトの名前と「キラであったのなら、そのことを告白する」とでも書いておけばいいだけのことだ。もし魅上を操っていたのなら、ライトを操ったって同じことだろう。
さらに言えば魅上もノコノコ中に入ってくる必要ないよね。彼らの名前を見たら覚えといてその場を去り、あらためて名前を書いてもいいし、なんならテレビ局に発表させてもいい。まあ、その状況だと手元にノートがなくなるわけだけど、名前がわかればライトが改めてどこかで書けただろう。
このへんはライトの自信過剰なところが原因で招きいれたのだろう。用心するならこっそり名前見て帰れっていうべきだよね。
まあともかく、もしニアが魅上を操ってないのだとしたら、魅上が間抜けすぎるということになってしまう。それを予測しなかったライトも然り。これはちょっと不自然なんだよね作品として。作者もそれを理解していたから最終回で松田に操ってた可能性を言わせたのだろうね。それにしても「なんで確認しなかったんだ!」くらいはライトに言わせてもよかったと思う。
とはいえ勝ち負けに関したらどっちかが抜けてないと成立しないのだから、仕方ない部分はあるんだけどね。
まとめるなら
・ライトがニアの策に乗る必要がまったくない
・魅上にノートを確認させないのがおかしい
・確認しないように操ったとしてもライトがそこに言及しないのがおかしい
・ニアはノートの力で操って勝ってうれしいのか?
といったところです。
いやあ、デスノートって本当に面白いものですね!