柴犬のblog

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朝日新聞の扇動に釣られる人たち

検察庁法の改正案に抗議しますとかいうタグがトレンドを賑わしていたので、なんの話だと思って調べてみたら、なんととんでもない話であった。

そのタグを使っている彼らが言うには「首相は官邸に近い立場にいる黒川氏の定年を延長させるために検察庁法を改正しようとしている」「もしそうなれば政府に犯罪者が出ても捕まらなくなる可能性がある」というもの。ご丁寧に相関図のような画像まで広まっている様子。

まあ、普通の感覚というか知能があれば、個人の一存で犯罪をもみ消したりできるわけがないし、そんなことしようとしたらそれこそ大炎上してしまうだろうし、そもそも単なる一官僚にそんな力があるわけがない。こんなことは考える間もなくわかることだろう。しかし、そんなことさえわからない人がけっこういるのだ。

そもそも黒川氏の定年はもう延長されているし、その法案が通ったとしても施行されるのは二年後、そのころには黒川氏も安倍首相もとっくに今の役職を辞めているころだというのに。つまり、最初からこの法案は黒川氏のために通そうとしているわけではないことは明白なのだ。でも、朝日新聞がそう焚き付けたものだから、それをそのまま調べもせずに騒ぐ民主党党首の枝野幸男革マル派)。

まあ、こういう人たちは日本を転覆させるために活動しているからそういう嘘をついて人心を惑わすのは仕方ないとして、今回は不思議なことに多くの有名人がこれに一斉に呼応してタグをつけてツイートしたり、それをリツイートしたりして一気にトレンド入りしてしまっている。どうも誰かが指示を出してやらせてるかのようで不自然である。

 

そういう陰謀論は置いておくとしても、この法律の何が問題なのかさっぱりわからない。この法案は何十年も前から議論されていて、やっと最近日の目を見たというもので、国家公務員全体の定年を延長して年金の支給の65歳まで雇用しようという話でしかない。多くの公務員を救うための法案であって、一人の検察官の定年を延長させるためのものでないのは明白だ。

多くの民間企業でもそうであるように、60歳で一度定年したとしても、役職を外して再雇用しすることは普通にあるだろう。その場合でも、役職は外されて給料も減額されてしまう。再雇用される側は年金までの間の収入が保障され、組織のほうでは経験ある人材を活用できるという、双方にとってメリットのあることだ。そして、特別の事情がある場合(ほかに人材がいないとか、特殊な能力を持っている人とか)の場合は役職を維持したまま務めることが出来る。これも当然のことだ。組織の強化のためには当然にあるべき制度だと思う。どこからどう見ても全く問題のない話だ。

 

では、そもそもなぜこれが黒川氏の話と絡ませることになったのか。

黒川氏は大臣官房などの役職を歴任し、今は東京高検の検事長である。この役職は検事の中ではナンバー2で、この上は最高検検事総長である。高検の検事長の定年は63歳。黒川氏は2月に63歳の誕生日を迎え、退官するはずであった。しかし、検察庁や政府の要望で検事総長になってもらいたいということになった。

黒川氏ほどの経験と能力のある検事は貴重であり、このまま辞めさせるのは損失であるのは確かだ。でも、定年はいかんともしがたい。検事総長になれば65歳が定年になるので、なんとか検事総長になってもらいたい。でも、いろいろなしがらみがあって現検事総長の稲田氏の退官が先延ばしになってしまった。このまま2月の定年を迎えてしまってはやばい、そこで政府は国家公務員法にある、特別な状況では定年を延長できるという制度を適用することにした。

この法律はそもそも国家公務員全体へ効力のある法律で、検察は除くとは書いてないのだけど、法案が成立するとき(30年以上前)政府が答弁で「検察には適用しないものとする」としている。なぜかといえば、検察は政治家をも捜査、逮捕する権限を持っているのだから、内閣が検察官の人事権を濫用するのはよろしくないという世論を受けてのことだった。今「お友達検事」みたいに言われるのも、そういう世論あってのことだとは思う。

ただ、検事というのはそもそもが内閣と同じ行政府の所属であるし、法務大臣との関係も他の省庁ほど強くない。法務大臣が個々の事件について指示を出すこともなければ、それを法律を超えてでも守らねばならないということもない。さらに検事の(ついでに言えば裁判官の)人事権はもとから内閣が握っているのである。そういう状態で戦後70年やってきているのに、たかだが一人の定年を延長したからといって何になるのだろうか。

でまあ、いくら30年以上前の話とはいえ、政府が答弁で述べたことを反故にするわけだから、それなりの手続きというか宣言が必要である。それが「閣議決定」というもので、閣僚みんなで話し合ってそうしましょうと決めましたのでこれからは国家公務員法の記述を検察官にも適用しますよ、という宣言をしたのだ。

条文を改めるわけではないし、条文にないことを無理に解釈したわけでもない。単に運用を変えたというだけのことだから、何らおかしなことではないんだけど、これも何も知らない人は「閣議決定という強権で法律を捻じ曲げた」なんて言ってるわけ。

それでいうならもともとねじ曲がっていたのを戻しただけなんだけどね。

 

さて、そういうことで黒川氏の定年はとりあえず半年延びることになりました。その間に現検事総長さんには退官頂き、晴れて黒川検事総長の誕生と相成るわけですね。これはもう、法律の改正とは別に、もう決まっていることです。

検事総長というポストは、すべての検事の頂点に立つ存在であり、慣例では二年で次の人に交代するそうだ。今、63歳の黒川氏は、今年中に検事総長になれば定年の65歳まで勤めて頂くことが出来る。そして令和四年の2月に定年退官となり、同四月から改正国家公務員法の施行となるわけ。もし廃案になったとしても、彼が検事総長になるというのは既定路線で何も揺るがない。

 

ね、順番を追えばなにも問題ないでしょ?

騒いでいる多くの人は、ここまでの話を知らないわけ。検察が行政機関であることを知らずに三権分立が冒される!とかアホなことを言ってるわけなんだよね。もし周りにそういう人がいたら、ちゃんと説明してあげてくださいね。